M4484●江戸明治和本等>託静三訓[衣食訓・再縁訓・老人訓]教訓 明道

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●江戸明治和本●託静三訓[衣食訓・再縁訓・老人訓]
【判型】半紙本3巻合1冊。縦225粍。
【作者】託静(タクジョウ、隆円・順阿)作(説)。明道編(聞書)。
【年代等】文政10年作。衣食訓:文政10年8月、明道聞書。文政12年9月、明道聞跋。再縁訓:文政10年7月、託静門人(優婆塞)跋。老人訓:文政13年2月、良遂跋。文政13年刊。[京都]門人蔵板か。
【備考】分類「教訓」。託静三訓合冊本。『託静三訓』は、江戸後期の浄土宗僧侶、託静(隆円)の説教を弟子が聞き書きして出版した三つの教訓書の総称で、門人等が無料で配布した施印本である。まず文政10年『再縁訓』、文政12年『衣食訓』、文政13年『老人訓』の順に単行本が刊行され、その後、これらを一冊に合本した『託静三訓』が天保頃に刊行された。三訓の概要は次の通り。「衣食訓」は、信者からその子弟の「生涯の為になる教えを」と求められて、託静が語った教訓で、『古文前集』に出てくる「蚕婦の詩」と「憫農の詩」を敷衍したもので、衣食を生産する者の艱難辛苦を強調し、その報恩としての家業出精や質素倹約を諭している。例えば、絹の衣服1着で約3000個の命(繭)を殺生していることなどを引いて具体的に述べる。「老人訓」は、誰もが迎える「老い」の問題に焦点を当てて、特に「死」というものを直視し、死後の魂が永遠に安住するための仏道修行を勧めた教訓である。注目すべき点は、宗派や宗旨の違いから対立することは「仏法をもって修羅の業をなすこと」にほかならないと厳しく批判し、いかなる宗教であろうと、自分にふさわしい方法で一心不乱に修行すべきことを第一義としている。江戸時代中期以降は、「諸宗僧侶法度」などにより他宗との対立、いわゆる「宗論」が法制上でも禁止されていたため、これに呼応したためとも思われる。「再縁訓」は、配偶者が死んでも夫婦の縁が切れないことから、再婚に際しては墓前で亡くなった相手に再婚の許しを請うなど、亡き夫や妻の霊魂を大切にすべきことを諭す。
★原装・題簽付・状態概ね良好。稀書(全国に所蔵数カ所(国文学研究資料館DB))。
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