【売約済】ピリス／モーツァルト：第11＆14番、幻想曲K.397＆K.475

モーツァルト
①幻想曲ハ短調 K.475
②ピアノ・ソナタハ短調 K.457（第14番）
③幻想曲ニ短調 K.397 (385g)
④ピアノ・ソナタイ長調 K.331 (300i)『トルコ行進曲付き』（第11番）

マリア・ジョアン・ピリス（ピアノ）
録音：1990年4月

ピリス46歳のスケールの大きいロマンティックな演奏です。2017年発行の名曲名盤500では、③④が第1位、②が第2位に選定されています。

ピリス第1回目のモーツァルト録音は、端正なスタイルの演奏でした。この新盤も基本は変わっていませんが、彼女の年輪の重さが十分に反映された深さと広がりを見せ感服させられる出来です。まさに入魂の演奏であり、完璧に磨き上げらています。これらはステージでの演奏も数多く、年月をかけて慈しみ、文字通り磨き抜いてきた自然な結果だと思います。ピリスの演奏は情熱的というよりは感覚的で、洗練された細部のタッチのなかに、きらきらと明滅する美しいパッションの断片がひっそりと息づいています。これはピリスならではの天性の神業であり、モーツァルトのエスプリを現代によみがえらせつつ、しかも聴衆の鼓膜をあたかも羽毛でそっとなでていくかのようにやさしく通り過ぎる、暖かな春の陽射しのようなモーツァルトです。

このピリスのピアノソナタ演奏は、彼女独特のしなやかな演奏技術に培われていてみごとと言うしかない。いつもピリスの演奏には、どの一音も軽んじることのない独特の丁寧で巧みなフレージングの処理があり、エスプリに満ちており、モーツァルトらしい緊密で明澄な美しい音楽を生み出している。11番は非常に遅いテンポで弾かれ、ゆったりとした旋律の起伏が、音の緩やかなうねりとして見事に再現されている。3楽章のトルコ行進曲のテンポは大変遅いが、本来のこのようなテンポでの演奏が理にかなっているようにさえ感じさせられてしまう。14番では変化に富んだソナタの魅力を十分魅力的に表現している。最高の演奏の一つといって間違いでない。1990年前後のグラモフォンの録音環境の良さも、この演奏を引き立てている。

国内盤【廃盤】帯無し、盤面傷無し 9
S.Kudo様

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